2010年1月24日日曜日

コララインとボタンの魔女

Coraline / 2009米


監督:Henry Selick
原作:ニール・ゲイマン

声優:
ダコタ・ファニング
テリー・ハッチャー
キース・デイビッド

昨年末に米版ブルーレイで見た。そろそろ日本でも公開のようなのでちょっと感想を。



監督は「ジャイアントピーチ」、「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」のHenry Selick。本作でもその2作品の味を期待すれば外れはないだろう。「コラライン」で私が一番気に入ったキャラクター、ワイボーンは、監督が付け足したオリジナルキャラのようだ。


原作のニール・ゲイマンは、最近では「スターダスト」の原作(スターダストのレビューはこちらで)。 世界幻想文学大賞とかヒューゴー賞とかとってるすごい人。『コラライン』原作はもともと、ゲイマンが彼の娘さんのために書いた作品のようだ。その娘さんも特典映像に顔を出している。「ベオウルフ」の脚本もしてたりする。だが彼の作品の映画化では「ミラーマスク」が一番好き。

いわずと知れた名子役、ダコタ・ファニングが主人公コララインの声。ストップモーションで表現されたコララインと彼女の声が一緒に聞こえると本当にコララインがそこにいるようだ。(録音が先でアニメ製作はそのあとだが)

「デスパレートな妻たち」でおなじみのテリー・ハッチャーの「アザー・マザー」っぷりもよかった。

コララインの父親役には、アップルのMacを宣伝するコマーシャルで「PCガイ」を演じていて有名なJohn Hodgman。「バトルスター・ギャラクティカ」シーズン4や「Flight of the Conchords」のシーズン1にもでている。ドキュメンタリーでは「I don't do computer humore(僕はコンピューター系のジョークはしないんだ)」なんてジョークを飛ばしている。

ミスター・ボビンスキ役で良い味が出ているIan McShaneは、「ライラの冒険 黄金の羅針盤」ではヨロイグマのラグナル・ストゥルルソンの声をしている。



・感想・

ストーリーの面で言えば、童話に出てくるような子供の夢と、その夢の残酷な現実を描いた作品と言えるかもしれない。とはいっても「大人から子供まで楽しめる」映画で、童話で目にするきらびやかな世界に潜む醜さ、があると言うだけでハードコアに残酷な現実ではないのでご安心を。ただ、監督/作品の独特の持つ毒々しさから、大抵の「大人から子供まで楽しめる」作品(ピクサーアニメとか)で置き去りにされるようなその中間の層をも虜にできていると思う。

この映画のもうひとつの面は、これが実写でもアニメでもなくストップモーション映画であるというところ。ただのストップモーションではなく、ファンタスティックなストップモーションだ。人形に命を吹き込むとはこれを指す(これをも指す)のだろう。監督の手作りへのこだわりはかなり強いようで(へそ曲がりとも言えるだろうが)、作中の20秒のシーンを撮影するだけで3、4週間かかるそうだ。炎や霧のシーンも手描きの炎アニメーションにコンピュータ加工、実写の霧をコンピュータでコラージュ、なんて凝りようだ。下手なストップモーション作品とは一線も二線も画す作品だ。できることなら映画館で3Dで楽しんでみたい。




・特典映像・

手持ちの米版ブルーレイには昔ながらの赤と青の3Dメガネが4つついてくる。撮影時に、1つのレンズで位置を変え1コマにつき2回撮影、という手法で3D撮影している。確かに3Dで見えるのだがこのオールドファッションな赤青メガネでは意図した3D表現、意図した色合いが出ていないのではないかと思う。メガネをかけて最初の5分ほどは変な感覚だが、目が慣れてくるとなかなか自然な3D映像が楽しめる。


特典映像のドキュメンタリーもブルーレイ画質で収録されており(注:米版だよ)、うれしいところ。製作中のモデルなども細かいところまで見える。

ちなみに特典映像にはダコタ・ファニングと妹さんっぽい女の子が出てきて一緒に製作現場を見てまわる映像があるのだが、シャイそうなこの妹さんのメガネの奥の目がぱっと輝くシーンがある。純粋に映画のマジックとか、そのプロ達の技術に感動できた幼い日々…。見てて和んだ。



原作日本版はこちら



*注*米ブルーレイ版(PS3では普通に見ることができる)



ストーリー ★★★★☆
ストップモーション ★★★★★
独自の世界観 ★★★★★



総合 ★★★★★





・おまけ・

ちなみにPCガイのCMはこんな感じだ。2つ目のCMはお見逃しなきよう…





BY メインクーン