監督:フランク・ダラボン
原作は、スティーブンキングです。あのスティーブンキングです。スティーブンキングがわからない人はここをクリックしてください。
彼はホラーやミステリーを主とする物語を書く作家のようで(私自身あまり知らないw)、代表作はスタンドバイミー。これはさすがに知っている人は多いと思います。
彼の原作の映画で見たことのあるのは、ランゴリアーズとこのミスト、あと超有名なスタンドバイミーですね。逆に言えばそれしか見たことないのですが、共通する特徴がハッキリしています。
1 絶対何らかの謎がある
2 謎が徐々に解き明かされていく、ドキドキ感
3 絶対誰かが死んでる、ホラー要素(スタンドバイミーは微妙かw)
てなことでしょうか。この映画は、ホラーではなくてサスペンスの区分なので、謎解き大好きには、ちょっとオススメ、そして、一応パニック映画でもあります。
見所を紹介していきます。
①何かわからないけど正体不明な事象が本編後半まで付きまとう
物語は、タイトルにもあるとおり町に不穏な「霧」がかかることから始まり、終盤までその正体が明かされません。その、わからないものがずっとストーリーに付きまとうので、ドキドキ感はあります。
②パニックの民衆がどう行動するのか?
パニック映画全般に言える見所の一つといえるでしょう。広い意味でパニック映画の代表といえば、アウトブレイクやザ・コア、アルマゲドン、最近のではデイアフタートゥモロー、この度公開された2012もそうですね。それらに共通して言えるのは(2012は見てませんので知りません)、「解決方法、主人公の目的が明確」で「規模が大体地球規模や国の規模」で起こる大惨事が描かれるものです。
しかしながら、この「ミスト」という映画は大きくても「町や州」といった規模で、一番きついのは「主人公たちが何をすればいいのか分からない」こと。スティーブンキングは、何があるか分からない恐怖感と、主人公たちが何をするのかというワクワク感やその行動のある意味での不安定さをうまく描いています。
特に注目すべきは、主人公を取り巻く民衆の言動、行動の数々。物語終盤まで、パニックの場はスーパーマーケットの店舗内に限られるという、なんともエグイ設定。にもかかわらず数多くの民衆がいるわけですから、どうなるか、想像しただけでも恐ろしい。
③パニックの民衆たちがたどり着く、人間の性 (さが)
これが一番の見もの。という言い方はちょっと微妙ですが、でも一番関心を寄せる部分の一つでしょう。
上記の②の様な状況におかれた民衆が、物語の後半になるに連れて、いわば「狂って」きます。その描写が実に興味深い。ある人は持てる知識を活かして統率を図ろうとし、ある人は神に祈りをささげ、ある人はそれらにかまわず勝手な行動をとり、またある人は冷静に助けを呼ぼうとする。
前半ではこういった、いくつもの行動パターンに分かれるのですが、後半になるとどうなるのか。ここで、キーワードは先ほど記述した、「解決策が皆無」であること。人々は何をすればいいのか分からないんです。そこに、ある強烈な恐怖が襲い掛かることにより、人々は大きく三つに分かれます。
1 神を信じる人
2 神を信じない人
3 自ら死を選ぶ人
スティーブンキングの描いた人間の最終的に行き着く「性(さが)」とはこういうものなのだろうかと感じました。と同時に、神の信仰の始まりを究極に再現したシミュレーションではないかとも思ってしまいました。
なんら宗教の観念がない場所に、突如信仰の波が広がる、その原因とはこの物語では「恐怖」です。「恐怖」たる物の存在というのは、大昔の人類が生きていたときには夜や獣などがありますから、それを再現しているように思えてしまいます。
最後に信仰を広めた主たる人が殺されるのも、見方によれば、なんとも史実を模しているようで少し気味が悪かったですね。正体不明の何かが人々をパニックにおとしいれるのは、パニック映画らしいとは思いましたが、パニックの原因よりも人間の性を描いた、究極に人間を皮肉っている作品といえるでしょう。
以上、見所を紹介していきましたが、注意として、グロイのが苦手な方は見ないほうがいいかもしれません。手首がぶら下がってたり、人が腐って虫がわくような場面もあります。ただし、ホラー好きには、③の人間描写がだるく感じられるかもしれません。つまりは万人にはオススメしない映画ということになってしまいますが、、、宗教とか、パニック映画に興味がある人、見てください。その興味がある人たちなら楽しめそうです。
ラストはあえて言及しません、気になる人はAmzonの評価を見てください。
ストーリー | ★★★★☆ |
人間描写 | ★★★★☆ |
パニック | ★★★☆☆ |
総合 | ★★★☆☆ |
BY 三毛猫