2009年12月12日土曜日

ミスト

原作:スティーブン・キング
監督:フランク・ダラボン




原作は、スティーブンキングです。あのスティーブンキングです。スティーブンキングがわからない人はここをクリックしてください。

彼はホラーやミステリーを主とする物語を書く作家のようで(私自身あまり知らないw)、代表作はスタンドバイミー。これはさすがに知っている人は多いと思います。

彼の原作の映画で見たことのあるのは、ランゴリアーズとこのミスト、あと超有名なスタンドバイミーですね。逆に言えばそれしか見たことないのですが、共通する特徴がハッキリしています。


1 絶対何らかの謎がある

2 謎が徐々に解き明かされていく、ドキドキ感

3 絶対誰かが死んでる、ホラー要素(スタンドバイミーは微妙かw)

てなことでしょうか。この映画は、ホラーではなくてサスペンスの区分なので、謎解き大好きには、ちょっとオススメ、そして、一応パニック映画でもあります。


見所を紹介していきます。



何かわからないけど正体不明な事象が本編後半まで付きまとう

物語は、タイトルにもあるとおり町に不穏な「霧」がかかることから始まり、終盤までその正体が明かされません。その、わからないものがずっとストーリーに付きまとうので、ドキドキ感はあります。



パニックの民衆がどう行動するのか?

パニック映画全般に言える見所の一つといえるでしょう。広い意味でパニック映画の代表といえば、アウトブレイクやザ・コア、アルマゲドン、最近のではデイアフタートゥモロー、この度公開された2012もそうですね。それらに共通して言えるのは(2012は見てませんので知りません)、「解決方法、主人公の目的が明確」で「規模が大体地球規模や国の規模」で起こる大惨事が描かれるものです。

しかしながら、この「ミスト」という映画は大きくても「町や州」といった規模で、一番きついのは「主人公たちが何をすればいいのか分からない」こと。スティーブンキングは、何があるか分からない恐怖感と、主人公たちが何をするのかというワクワク感やその行動のある意味での不安定さをうまく描いています。

特に注目すべきは、主人公を取り巻く民衆の言動、行動の数々。物語終盤まで、パニックの場はスーパーマーケットの店舗内に限られるという、なんともエグイ設定。にもかかわらず数多くの民衆がいるわけですから、どうなるか、想像しただけでも恐ろしい。




パニックの民衆たちがたどり着く、人間の性 (さが)

これが一番の見もの。という言い方はちょっと微妙ですが、でも一番関心を寄せる部分の一つでしょう。

上記の②の様な状況におかれた民衆が、物語の後半になるに連れて、いわば「狂って」きます。その描写が実に興味深い。ある人は持てる知識を活かして統率を図ろうとし、ある人は神に祈りをささげ、ある人はそれらにかまわず勝手な行動をとり、またある人は冷静に助けを呼ぼうとする。

前半ではこういった、いくつもの行動パターンに分かれるのですが、後半になるとどうなるのか。ここで、キーワードは先ほど記述した、「解決策が皆無」であること。人々は何をすればいいのか分からないんです。そこに、ある強烈な恐怖が襲い掛かることにより、人々は大きく三つに分かれます。


 1 神を信じる人
 
 2 神を信じない人
 
 3 自ら死を選ぶ人


スティーブンキングの描いた人間の最終的に行き着く「性(さが)」とはこういうものなのだろうかと感じました。と同時に、神の信仰の始まりを究極に再現したシミュレーションではないかとも思ってしまいました。

なんら宗教の観念がない場所に、突如信仰の波が広がる、その原因とはこの物語では「恐怖」です。「恐怖」たる物の存在というのは、大昔の人類が生きていたときには夜や獣などがありますから、それを再現しているように思えてしまいます。

最後に信仰を広めた主たる人が殺されるのも、見方によれば、なんとも史実を模しているようで少し気味が悪かったですね。正体不明の何かが人々をパニックにおとしいれるのは、パニック映画らしいとは思いましたが、パニックの原因よりも人間の性を描いた、究極に人間を皮肉っている作品といえるでしょう。





以上、見所を紹介していきましたが、注意として、グロイのが苦手な方は見ないほうがいいかもしれません。手首がぶら下がってたり、人が腐って虫がわくような場面もあります。ただし、ホラー好きには、③の人間描写がだるく感じられるかもしれません。つまりは万人にはオススメしない映画ということになってしまいますが、、、宗教とか、パニック映画に興味がある人、見てください。その興味がある人たちなら楽しめそうです。

ラストはあえて言及しません、気になる人はAmzonの評価を見てください。




















ストーリー★★★★☆
人間描写★★★★☆
パニック★★★☆☆



総合★★★☆☆


BY 三毛猫

2009年12月11日金曜日

ダブル・ジョパティ

監督:ブルース・ベレスフォード
主演:アシュレイ・ジャッド
出演:トミー・リー・ジョーンズ


こんにちわ、三毛猫です。前回の記事から2ヶ月ほどサボっておりまして、久しぶりに書かせていただきます。


今回紹介するのは、かなり昔(10年前ですね)&かなりマイナーな映画です。100人に聞いても98人は聞いたこともないって言うでしょうwしかしながら、Amazonでの評価はやはり、かなり高いですね。サスペンス系のストーリーになるので、ドキドキハラハラが好きな方は、特にオススメです。


この映画の見どころは、日本にはないアメリカの法律、タイトルそのまんまなんですが「ダブルジョパティ」にあります。この法律は、実際に合衆国憲法修正第5条に定められています。気になるのはその中身。この法律の示すことは「同じ事件で二度罪に問われない」こと。サラッと言いましたが、知らない人もいると思いますので、ストーリーの一部を紹介しながら説明していくことにします。


主人公は、いきなり夫殺しの罪で刑務所に服役します。ここでポイントなのが、この事件は夫は死んだと見せかけて実は生きていた、夫の自作自演の殺人事件だった事。このとき、弁護士は、彼女に夫への復讐の方法を教えます。それはダブルジョパティの制度を使うもの。


「彼女は、夫を殺したという罪には二度と問われない」



彼女はすでに「夫殺しの罪」で服役して、出所したために、その後夫を殺しても罪には問われないので、好きなだけ復讐しろってわけです。

これで物語の本題がスタート。この法律の意味からすれば、ストーーリー的にはありきたりなんですが、合法的に殺しができるとなって、夫を追い詰める彼女の姿は見ものだと思います。子供を取り戻し、夫に復讐をする母親の執念といいますか、映画を見たことのある人の感想には子供を思う彼女の気持ちに心打たれる人もいるみたいです。 彼女の憎悪もすさまじいので、その後の彼女の夫を追い詰める様が一番の見ものですね。結構ワクワクします。


てな感じで、ラストも見え見えなんですが、見てると意外にワクワク、ドキドキ感に浸れるので私はとても好きですね。

暇で暇で、なんか面白いことないかなーって時に見る映画ですかね。一応全米首位は何週間か連続取ってるんですが(笑

















ストーリー★★★☆☆
ドキドキ・ワクワク★★★★☆
爽快感★★★★☆



総合★★★★☆




BY 三毛猫

2009年11月25日水曜日

『トワイライト〜初恋〜』

2008年 アメリカ

監督:キャサリン・ハードウィック
原作:ステファニー・メイヤー
出演:クリステン・スチュワート
ロバート・パティンソン


監督は『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』(監督・脚本、サンダンス監督賞受賞)や、『ロード・オブ・ドッグタウン』(監督・製作総指揮)、『マリア』(監督)のキャサリン・ハードウィック。

出演は『パニック・ルーム』の娘役、『ザスーラ』のずっと凍ってるお姉さん、でおなじみのクリステン・スチュワート。ロバート・パティンソンは『ニーベルングの指環
』(オススメ)で悪い王様の弟役、『ハリー・ポッター』の『炎のゴブレット』と『不死鳥の騎士団』でセドリック・ディゴリー役でおなじみ。

ちなみにロザリー・ヘイル役のニッキー・リードは脚本家でもあり、本作の監督キャサリン・ハードウィックと6日間で前述の半自伝的映画『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』の脚本を手がけたそうな。


・ストーリー・

転校生のベラ。スポーツ選手と再婚する母の元を離れ父のいる町へ。雨ばかりの陰気な町だ。小さい時に遊んだネイティブアメリカン系のなんとか君とかもいるが、その子とは違う高校、知り合いもいない。転校早々知り合いもできるが、顔色悪い5人組が気になる。そのうちのひとりはベラを避けているようだが…


・感想・

学生生活の描き方はよかった。不安、疎外感、はしゃぐ皆と一歩間がある感じ、「なんで?私くさいの?」は、不安定な年頃の学生の共感を得ることができるだろう。

ただ、本作でのヴァンパイア要素は主にこの青春恋愛映画に「禁断の」「人に言えない秘密」を作るための要素。少なくともこの1作目では「永遠の」とか、仄めかされている狼系のあんなのとかとの対決の要素は無い。ただ、本作の吸血鬼が日を浴びない理由はとても以外で面白いと感じた。

麻薬中毒っぽいふたりの主人公は、観ていて心配になってくる。確かブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』ではドラキュラのとりこになる?ドラキュラに魅了された?人物はちょっと病んでそうになるといった記述があったような気がするからこれはこれで良いのかもしれないが、吸血鬼とは関わりの無い主人公の同級生の元気そうな顔が画面に現れるとホッとする。ロバート・パティンソンは他の役の時はそこまで病んでなさそうに見えるが、クリステン・スチュワートは『ジャンパー』の時も心もち病んでそうな顔…気のせいか。

ワイヤーアクションは本作の最低の要素。これまでの世界観が一瞬にして崩れ去る。ここがもう少しましだったらだいぶ評価も変わっただろう。

キュートなアシュレイ・グリーン演じるアリス・カレンが投球するシーンは、野球アニメ見たく豪快に足を上げるのに投げ方がへなちょこで、それはそれで面白いのだが…


・まとめ・

ストーリーだけ聞くとただの恋愛系吸血鬼ものだが、なかなかの良作だと思う。アクションシーンは少ないが、最近の何でもありなアクション映画と化してしまった吸血鬼ものとは違う、学園恋愛ものに隠し味で血を少々といった感じか。


・オススメ度・

吸血鬼:       ★★★☆☆
高校生活描写:   ★★★★☆
アクション:     ★★☆☆☆

総合:        ★★★☆☆





・おまけ・

なお、次回作、『トワイライト ニュームーン』の予告編にはダニー・ボイル監督の『サンシャイン2057』のサントラ(未発売。だがこの曲は「The Surface of the Sun」もしくは「Adagio in D minor」として知られている。コンポーザーはジョン・マーフィー)が用いられている。こちらで予告編(YouTube)


by メインクーン

2009年11月11日水曜日

ミラーズ

2008年 ルーマニア/アメリカ

監督:アレクサンドル・アジャ
出演:キーファー・サザーランド
ジェイソン・フレミング
エイミー・スマート


監督は「ハイテンション」、ウェス・クレイブン「サンドラ」のリメイクの「ヒルズ・ハブ・アイズ」。次回作は2010年公開予定「Piranha 3-D」、78年の「ピラニア」のりメイクだそうだが、「ピラニア3D」とはまたすごいタイトルである。ちなみに「P2」でも脚本とプロデューサーをしている。

オリジナルは韓国映画「Mirror 鏡の中」。


・感想・

主人公が、開始早々起きている不可思議な現象を疑ってかかることもせずに信じちゃっているあたりは
「もうさ、疑ったりとかなくていいじゃん。どうせストーリー進めるには信じさせないといけないんだし。その部分カットでいいっしょ?」なんてやりとりがあったかどうかは知らないが、そんな感じを受けた。それによりテンポよく話が進み好感が持てた

前半は、火災が起きて廃墟になったデパートで、なんか泣き声が聞こえたりと、そこまで怖くはないが面白い場面があったのだが…話が進むにつれてスプラッターチックな要素とか、最後の方ではもうジャンルのごった煮的な感じになっていて残念な感がある。まあ、ハリウッド的な感じとも言えるかもしれないけど。


・オススメ度・

怖さ:   ★★☆☆☆
グロ:   ★★★☆☆
後半の展開:★★☆☆☆

総合:   ★★☆☆☆





・おまけ・
米国版のポスターの方が断然かっこいい。なぜかちょっと「ダークシティ」を思い出してしまった。(こちらもキーファー・サザーランドも出てる)

どうでもいいが、主人公の6歳の息子の部屋には「Tsubasa」と「ネギま」のポスターが。

by メインクーン

2009年11月8日日曜日

インストーラー

2007年 フランス

監督/シナリオ・ダイアログライター:Julien Leclercq

インターナショナル版タイトルはChrysalis(さなぎ/繭)。ちなみに、フランスでのタイトルはAvatar(アヴァター)。キャメロンの「アバター」と被るためインターナショナルタイトルは変更か。


・ストーリー・

近未来を舞台にした映画。つまりはSFなわけだが、監督曰く、

プロデューサーに20年後を舞台にした未来的な映画と説明したら…えーっと、こんな感じの映画は私達の文化にないから難しいんだ。だから彼らは「つまり空飛ぶ車が出てくるようなということだな?」って即答したよ。私は「違うんだ、フィフス・エレメントやコミックみたいなものじゃない」と説明した。これは近い将来起こるかもしれないようなことを描いた作品。現在の私達が目にすることのできる最新の技術やプロトタイプでしか存在しないようなハイテクなものが日常化、陳腐化した、明日の世界なんだ。


これには納得できる。近い将来ありえるかもしれない。

作品予告編などで本編終盤近くになって明らかにされる事実が含まれているため、ストーリーは変に知ってから見るよりは知らずに見た方が楽しめるだろう。だがその部分を説明しないとその類の作品が好きな人の目に入らない可能性もある。


・感想・

あえてストーリーに関すること以外の感想としよう。

映像は綺麗でスタイリッシュ高級感があるといっても良いかもしれない。なかなか面白いものの見せ方をしているところもある。手術のシーンは、「マイノリティー・リポート」的なありきたり感、わざとらしく見せ付ける感があり、クラシック音楽も相まってチープな感じしかしない。しかし全体的には洗練された映像。それだけ見ても損はしないだろう。

格闘シーンは「ボーン・アイデンティティー」にもスタントとして出ているスタントコーディネーター、Alain Figlarzが担当している。彼は本作では悪役を演じてもいる。「ボーン」シリーズの格闘とまではいかないものの、スタイルはそれに近く、なかなか楽しめる。敵に背中を見せる攻撃法方が効果的かどうかは疑問に感じるが。Alain Figlarzは「バビロンA.D.」でも戦闘シーンの振り付け(fight choreographer)を担当。どうでもいいが、マノン役のMelanie Thierryも「バビロンA.D.」に準主役で出演している。


しかし全体としてみると、A級映画にもカルト映画にもあと1歩と届かない感じ。ただ映像美は一見の価値あり。格闘もなかなか。SF好きな人には下手なB級映画を選ぶくらいなら本作をオススメする。


・オススメ度・

映像美     ★★★★☆
格闘      ★★★★☆

総合      ★★★★☆





・DVD特典・
私が持っているDVDはUK版で、メイキングが特典としてついているが、メイキングの撮影ですらとても美しい。どうやら「スペシャルエディション」と名のついた日本版の方が収録特典が長いようである。UK版のメイキングは25分58秒だが、Amazon.co.jpによるとこの「スペシャルエディション」には(特典は変更になる可能性があると言う記述があるが)合計49分の特典映像が含まれているようだ。

by メインクーン

2009年11月2日月曜日

永遠の子供達

2007年 メキシコ/スペイン

監督:Juan Antonio Bayona

出演:Belén Rueda
Geraldine Chaplin
Fernando Cayo


・感想・

久々に泣いた。最近映画を見ていなかったせいかのめり込めた。感情移入できたといった方が適切かもしれない。

「とても怖い」映画だと聞いていたが、実際かなり怖かったカメラワークも怖さをあおっていてすばらしかった。脇役の女性陣も良い味を出している。主人公役のBelén Ruedaの迫真の演技もすばらしく、話の最後ではやるせなさで泣いてしまった。

自分はどうも親子モノに弱いらしく、「Life is Beautiful」や「A.I.」でも泣いたクチであるが…。それを差し引いても本作は近年まれに見る幽霊物ホラーの良作である。


・オススメ度・

怖さ     ★★★★☆
やるせなさ ★★★★☆

総合     ★★★★☆





・雑談・

ちなみに本作プロデューサーは「ミミック」、「パンズ・ラビリンス」、「ヘルボーイ」シリーズでおなじみ、ギレルモ・デル・トロさん。アメリカではやはりギレルモ・デル・トロさんをプロデューサーに英語版リメイク計画も進行中だそうだ。Wikipediaによると監督のBayonaさんはこう語っているそうだ。

「アメリカ人は金はたくさん持っているが何もできない、私達はしたいことは何でもできるが金がない」「アメリカの業界はチャンスをつかまない、だから彼らはすでに大ヒットを飛ばした映画のリメイクしか作らない」


日本でも最近アメリカ映画「サイドウェイ」を「サイドウェイズ」としてリメイクしている。これは日本映画界からの危険信号かもしれない。(オリジナル版の現代が「Sideways」で、そのリメイク版では原題に忠実に複数形になっているのは皮肉としか言いようが無いが。)

by メインクーン

2009年10月16日金曜日

ガタカ

1997年 米

監督:アンドリュー・ニコル
主演:イーサン・ホーク
   ユマ・サーマン
   ジュード・ロウ

音楽:マイケル・ナイマン


私の好きな映画オールタイムベストが本作「ガタカ」。

・ストーリー・

DNA操作して優秀な子供を作るのが「普通」な近未来、自然出産で生まれた「不適合者」はただ不適合者であるというだけで差別され、希望する職業につくことができない。

イーサン・ホーク演じる主人公、ヴィンセントは「不適合者」。目が悪く、心臓に問題を持ち、30歳で死ぬと診断されていた。このことから彼の両親は次の子を遺伝子操作で出産。「適合者」で、健康な体で身体能力にも優れている。

数々の身体的問題を抱え、弟にはいつも水泳で負けていた主人公だが、彼には宇宙飛行士となる夢があった。彼はその夢をかなえるために努力をする。だが、「不適合者」である彼が宇宙飛行士になることはできなかった。

ジュード・ロウ演じるジェロームは、元水泳選手。銀メダルをとるものの、金メダルが取れなかったことに苦しみ自殺未遂をする。下半身が麻痺した彼は生きる希望を失い、「適合者」である自らの血液、指紋、皮膚、毛髪、尿などを「不適合者」に与えるDNA偽装に手を出す。ヴィンセントは「適合者」を装い宇宙飛行士になる夢をかなえるために彼と会う。

ヴィンセントは自らの身長を変え、整形までし、ジェロームに成りすます。「適合者」として宇宙局で職に就いたヴィンセントだが、宇宙局内で殺人事件が起き…


・感想・

私がこの作品を好きな理由は、主人公の努力である。主人公は皆よりも劣っており、差別の対象ともなっている。そんな彼が自分の夢を目指すために惜しまず努力をする(しかしねちねちした描き方ではない)。もちろん努力だけでどうにでもなるほど現実はあまくはない。本作の主人公も、本当の自分ではない他人を装いながらも夢に近づいてゆく。

そんな世界の中で作中に出てくる多指症のピアニスト、そして彼の演奏する「Impromptu for 12 Fingers」、12本の指のための即興曲が印象に残る。

「スター・ウォーズ」、「マトリックス」、SFの超大作には「選ばれし者」がつき物だが、本作の主人公は「選ばれなかったもの」だ。その彼が夢を目指して頑張るのである。必死で夢を追い求めるヴィンセント、その一方で、「選ばれし者」だったが生きる夢も希望も失ったジェロームとの友情。これは楽な道を選び成功が手に入ることが「夢」となっている現代のエンターテイメント作品とは違う、人間のドラマである。

そして、SFの形はとっているが、テーマは現代社会がもつ問題とさして変わりは無い。醜さや奇形などによる差別、偏見、(脳も含め)身体機能が「一般」から外れることでつけない仕事もある。それらは悲しいことに昔から存在し、もっと悲しいことに将来も変わりはしないだろう。遺伝子操作もDNA登録も現実になりつつある現代、この作品がSFだからと毛嫌いしないで是非皆さんに見ていただきたい。

この映画は音楽無しに語ることもできないだろう。「ピアノ・レッスン」で有名な作曲家マイケル・ナイマンのシンプルだが感動的なサウンドトラックは涙を誘う。本作「ガタカ」ではゴールデングローブ賞の最優秀映画音楽賞にノミネートもされている。

統一感がある色合い、SF過ぎない古く新しいデザインや、印象に残るカット割りもすばらしい。

結局今回レビューを書きながら全編見直してしまった。いくつになっても泣ける。


・オススメ度・

ストーリー ★★★★★
音楽    ★★★★★
感動    ★★★★★


総合    ★★★★★


Blu-ray版

(初収録のドキュメンタリーが2種類ついているそうだ。私もこれから注文しようと思う。)

DVD版

(ちなみに私が持っているのはショートケース版だ)

Superbit版



サントラ



・トリビア・

・タイトルのガタカ、「GATTACA」はWikipediaによると「DNAの基本分子であるguanine(グアニン)、adenine(アデニン)、thymine(チミン)、cytosine(シトシン)の頭文字」とのこと。スタッフロールでもこれらの文字が強調されている。

・本作の監督、アンドリュー・ニコルはジム・キャリー主演の名作「トゥルーマン・ショー」の脚本を担当している他、先日当ブログにもレビューが書かれたターミナルでは原案・製作総指揮をつとめている。彼は自身が監督した「シモーヌ」の主演女優レイチェル・ロバーツと結婚している。

・本作の翌年の1998年5月1日には、イーサン・ホークとユマ・サーマンが結婚、2004年にイーサンの浮気で離婚している。

名探偵モンクでおなじみのトニー・シャルーブの若かりし姿も見ることができる。

・「24 -TWENTY FOUR-」に出演し、ニーナ役の共演者サラ・クラークと結婚したことでも有名な(?)ザンダー・バークレーが良い味を出している。DVDの特典でNGシーンがあるのだが、そこではコメディアンっぷりも発揮している。こちらは今も昔もあまり変わらない容姿である。

・検問があるトンネルは、ブレードランナーにも用いられた有名なトンネル。The 2nd Street Tunnel Los Angelesで検索すれば画像も見つかる。

・マイケル・ナイマンは日本映画「ナビィの恋」にも楽曲提供をしている。変わりどころではセガのゲーム「エネミーゼロ」や、山本耀司の94年のパリコレにも作曲をしている。



by メインクーン

カイジ 人生逆転ゲーム  (映画レビュー)

監督:佐藤東弥
主演:藤原竜也


10月10日公開の「カイジ 人生逆転ゲーム」見てきちゃいました!ってことで今回は、DVDではありせん。これから映画館に行こうかという人にも参考にしてもらいたいと思います。ネタバレ少ししちゃうかもしれませんが、少しなのでご了承を。
ちなみに、今回は原作の見所がどれほど表現されているかで基本的な評価をしましたが、映画化は原作を100%表現する物でもありませんし、原作を知らない人もいると思います。なので、評価は人それぞれということで見てください。


もともとオススメ映画を紹介するサイトにしたんですが、今回、私にとってカイジがあまりにも(酷評ですが)酷かったので、私のレビューを載せておくことにしました。特に原作コミックの心理戦等を期待している人にはオススメしないです。理由は下記に・・・。




  • 元々の原作「賭博黙示録 カイジ」の見所とは

この映画を評価するにあたって、原作は大きな基準です。ちなみに、カイジシリーズはコミックでは黙示録、破戒録、堕天録とシリーズが続いていきます。本作は、その中の「黙示録」の初めから最後までを2時間余りに凝縮しています。
原作コミックの見所を次に挙げてみます。()の数字は原作を10として、本作がどれだけその部分を表現しているかの指標。

  1. 自堕落なカイジが賭博(ゲーム)で追い込まれていく中、閃きや常等理論をめぐらし、切れる頭を武器に、 ただのゲームだと思わせる賭博を、心理戦として勝ち抜いていく姿(何故か頼もしく見えたりもする)。・・・(2)
  2. 金に物を言わせ好き勝手に人を扱う帝愛(に限らずとりあえず敵全般)を、カイジの頭脳や作戦により壊滅状態に追い込む、その痛快感。・・・(4)
  3. だけどやっぱり自堕落で終わり、どこか失敗するカイジ。・・・(7)

  • 映画ではどの様に表現されてるのか?(一部ネタバレかも

重要な部分がこの上記3点(だと私は思います)。少なくとも私はこういう部分が好きで見ています。その上で、映画で大体再現された部分と言えば、3番目の項目くらいだと思います。


1番目の項目ですが、本作の中でそれが重視されたゲームは、最後30分のEカード勝負のラスト1ゲームぐらいで、あとのゲームはそういった絡みは見られません。ただ単調にゲームをこなす感じに見えてしまい、原作でのリスクを考えた駆け引きや、その緊張感が全く感じられないのがほとんどのような・・・。
また、ゲームをしてる最中に、「生きろ!生きるんだ!」とか「金に物を言わせるより、人間思いの方が価値がある」的な事を連呼されても、カイジってこんな文句ったれだっけ?と疑問も・・・。終始そんな場面があり、その部分が原作より誇張に表現されている気がして、カイジが泣き落とししているようにしか思えないとも・・・(厳しくいえばですが)。確かに原作にもそういう場面はありますが・・・。演出の仕方の問題でしょうか、その辺は分からないんですけど。

2番目の項目は、若干疑問に残る点が・・・。原作と同じく、最後は利根川が撃沈するんですが、途中、あり得ないだろうと言わざるを得ない交渉があっさり決まったりとか・・・話の繋がりがしっくりこない気がしましたね。帝愛側に限らず、カイジの敵(地下労働の班長とか)への反抗理由があいまいだったり、所々、理屈通ってるか?とかつい考えちゃいました。

ただ、人選はかなり良かった!藤原竜也は置いといても、利根川役の香川照之は意外にしっくりハマってて良かったし、遠藤(原作では男)役の天海祐希が女としての魅力たっぷり、演技がすんなり作品に馴染んでました。
所々のオチはまあ妥当ってところ。天海祐希さんの演技力とその魅力が後押しってことで、酷評になりますが評価はこのくらいです(↓)。


ストーリー・場面構成 ★★☆☆☆
人選★★★★☆
原作の見所の表現★☆☆☆☆



総合★★☆☆☆

by 三毛猫



一応DVDの予約してるみたいです。この評価は酷評ぎみにしたので、個人で確かめてみるのもよいかと。↓




ちなみにこんなのもあったんで載せときます。↓

2009年10月15日木曜日

エリン・ブロコビッチ

監督:スティーブン・ソダーバーグ
主演:ジュリア・ロバーツ


これは、私の中で一番印象に残る映画で、特にオススメするTOP5に入ります。ノンフィクションで、エリン・ブロコビッチも実際の人物の名前です。当人の公式サイト(英語)まであるんですね。これは知らなかった。英語で読めないのが残念です・ω・。そのエリンを演じるのは、ジュリア・ロバーツですが、実際のエリン自身も美人コンテストで入賞するくらいだったみたいです。


話の流れを少し紹介します。主人公のエリンは、金もなく定職にもついておらず、法律には全くの素人。そんなエリンが巨大な企業と訴訟で争う、裁判の話。見どころとしては、ストーリーも大変おもしろいのですが、エリンの訴訟に対する執念深さには終始感嘆しますし、それ以上に、彼女がとる行動のハチャメチャぶりに笑える部分にも注目でしょう。
また、素人ながらも慣れない法律の仕事に奮闘する、そんな彼女の人間ドラマが映える映画だとも思います。法律のプロにはプロなりのやり方があるのですが、彼女は素人だからこそできる大胆な行動をとったりもします。それは、映画のストーリーの要素として、見るものを引きつける部分だと思います。そして、この作品を通じて、正しいと思うことことは何といわれようと実行する彼女のポリシーを、忘れてならいと気づかされる場面も多々あるでは、と思います。


少し教訓じみたコメントになりましたが、ノンフィクションであることもあり、少し考えさせられる要素は含んでいます。まあ、現実はそううまくいかないもんですが(笑)しかし、ノンフィクションだからこそ、感動も本物です。最初私は、ノンフィクションだとは知らずに見ていましたので、感動よりも驚きの方が大きかったように思います。私が何度も繰り返し見た洋画は、そんなに多くないのですが、その中に入ってる作品で、プロフィールにも書いてありますがお気に入りの一作デス!


笑いアリ、感動アリの作品。ぜひ、見てください。





ストーリー ★★★★☆
感動作★★★★★
エリンのハチャメチャぶり★★★★★



総合★★★★★

by 三毛猫

2009年10月14日水曜日

ターミナル

監督:スティーブン・スピルバーグ


最近、TVの地上波でも放送されて、見た人も多いのではないのでしょうか。あとにも先にも感動ストーリーが心に残る作品です。しかも監督はあのスピルバーグ。だからというわけではないですが、トム・ハンクス演じる主人公に対する細やかなキャラクター描写の取り入れ方にには、素人の私にもグッと来くるものを感じます。見てて彼の気持ちがわかるんです。そして、そんな時に見てるこっちがじれったくも笑いたくもなるキャラクターには、多くの人が惹かれると思います。ストーリーは一応実話をもとにしているみたいですが、アレンジの部分もかなりあるようです。



ストーリーは、祖国想いの男性が主人公。とある災難で空港の外に出てアメリカに入国することも、飛行機で祖国に帰ることもできず、空港のターミナルに取り残されます。そんな設定にも驚きですが、彼はそこに住むことを決意し、いつか祖国に帰国できることを待つことに・・・。すごい設定ですが、実に絶妙で、ほんとにあったというからまた怖い。彼が着々とそこでの生活に適応していく姿が描かれ、それを邪魔しようとするものが現れたり、さらには彼の恋ドラマへと発展もしたりと。ストーリーに息つく暇もありません。テンポがいいんでしょうかね、いや、彼の行動が突出しているのかもしれません。ん~引き込まれちゃいます。笑いももちろんアリの、最後には泣ける、ハッピードラマです。とにかく感動したい、心温まる映画を見たい!って人にはぜひともオススメです。



結構古い映画だと思いましたが、2004年なんですね。でも、今でも昔でも感動は共通事項!感動するしないはある程度個人の感覚ですが、映画好きや映画に興味はあるけどどれがいいのかわからない人は、見ておくべき作品といえるのではないでしょうか。






ストーリー★★★★☆
感動作★★★★★
主人公のユーモラスさ★★★★☆



総合★★★★☆

by 三毛猫

2009年10月12日月曜日

墨攻

監督:ジェイコブ・チャン



今回は実写のものなんですが、実は前回紹介した「雲のように風のように」と原作者が同じだったりするんですね。知らずに見てました笑。それを知っていると、墨攻の世界観が雲のように風のようにとよく似ていることにピンときます。

世界観が似ているということで、舞台は、やはり中国の戦乱の時代(三国志というわけではないようです)。中国の戦国時代(紀元前5世紀~3世紀)に活躍した儒家(創始者:孔子)とは相異なる思想を持っていた「墨家」からきているようです。 ですが、実は前回の「雲のように風のように」も同様で、墨攻も史実とは関係なく、完璧なオリジナルのストーリーのようです。そういったこともありストーリーにも魅力ある部分は多いのですが、一番の見所は主人公の、カリスマ性が特に際立つのキャラクターでしょう。一言で言ってしまえばヒーローなのですが、ストーリーがそんな単純じゃないので、結構はらはらします。

上映当時のCMやパッケージにも書いてありますが、「一万人の軍勢相手にたった一人で立ち向かう」主人公のカリスマ的戦術はストーリーにひけはとらないでしょう。イメージで言うと、ホームアローンシリーズで、ケビンが知恵を絞って泥棒たちを追い払う、そのスケールを巨大にしたような・・・。もちろんコメディー要素はまったくといっていいほどないんですが、そんな敵を蹴散らす爽快感のある場面もあります。なので、そのアクションシーンなんかも見所のひとつでしょうか。


そんなオススメをする墨攻ですが、注意点。ホラー映画ほどじゃないですが、描写がエグイ場面もあったりします。そういうの苦手な人は注意。戦争ですから人たくさん死にますので・・・。


なのでアメリカ映画みたいにヒーロー万歳!のラストではなくて、ちとしんみりはしますね。でも、どこか心温まるそのストーリーは、オススメする最大のポイントです!



ちなみにウィキペディア引用ですが↓

1991年 - 『墨攻』第104回直木賞候補作に

1992年 - 『墨攻』『陋巷に在り』で、第4回中島敦記念賞受賞



直木賞候補作ってw

知らなかった私がはずかしいです・ω・。なので今回もストーリーはお墨付き!







ストーリー  ★★★★★
アクション  ★★★☆☆
歴史観    ★★★★☆

総合     ★★★★☆


by 三毛猫

雲のように風のように

Amazonのレビュー等→こちら

監督:鳥海永行



酒見賢一のデビュー作『後宮小説』を原作とするテレビアニメで、1990年3月21日に日本テレビ系で放送されたんだそうです。ぶっちゃけ古いですが、となりのトトロや天空の城ラピュタも同様、古いのにすごく印象に残る作品ですね。それでなのかどうか知りませんが、そのクオリティとストーリーの良さで、よくジブリ作品と間違われるみたいです。実際は、あの幽遊白書を作ったスタジオぴえろです。それはともかく、これを見たのが私が小学生のころでしたから、トトロと同じくらいよく見ていた(TVを録画したVHSで見た)のをよく覚えています。子供でもそれほど興味を引く作品だったんでしょう。

このストーリーの舞台となるのが、三国志(なのかな?)を思わせるような中国の戦乱の時代。実は私は歴史が大嫌いで、三国無双(ゲーム)やドキュメントの「映像の世紀(NHK)」以外には縁がありそうにありません。・・・しかし、そんな興味がなくとも、とても興味深く、面白い作品です。

見所は、もちろんストーリーですね。一人の少女が農民からさまざまな出来事を通じて正妃になるという、わらしべ長者のような話なのですが、その中の人間ドラマが実に興味をそそるものです。特に、中盤で登場する正妃候補の数人と、主人公とのやり取りには楽しさすら感じます。それも、作品全部を通じて特に引き立つ主人公の突飛な性格が絡んでいるせいなのかもしれません(笑)。そういった楽しい要素から、涙アリのしんみりとした感動作といえるでしょう。

ちなみにウィキペディアによると、「原作は日本ファンタジーノベル大賞最初の受賞作であり、主催の三井不動産販売が一社提供のスポンサーとなって、春分の日の日中に本編放送中はCMを入れないという異例の形式で放送された。」だそうです。ファンタジーノベル大賞とは・・・ストーリーはおりがみつきです!


今AmazonでDVDみたら、評価4.5でかなり高いですね、つい数年前までDVD化されてなかった気がしたんですが、Google検索700万件もされてたらさすがにでてました笑。3500円を切る買い得な値段も魅力的ですね。Amazonのレビュー等は→こちら






オススメ度 

ストーリー   ★★★★★
歴史観     ★★★★☆
感動作     ★★★★☆

総合      ★★★★★ 


by 三毛猫

2009年10月5日月曜日

藤子・F・不二雄のパラレル・スペース

藤子・F・不二雄のパラレル・スペース


本作はWOWOWで2008年に放送された藤子・F・不二雄の短編のテレビドラマ化。各話30分で全6話です。


第1話 値ぶみカメラ
監督:箭内道彦

 原作をそのまま映像にしたような不思議な感覚と、テンポ良い展開でこの「藤子・F・不二雄のパラレル・スペース」シリーズの中でも質の高い作品です。
個人的には、話としてはシリーズ中でも、SFという意味でもさほど優れたものには思えませんでしたが、それを補って余りあるビジュアル的魅力、見ていて楽しい作品でした。本編後のキャストへのインタビューも、それぞれが様々な価値観で「値ぶみカメラ」を認識しているのだということが分かり興味深い。彼らそれぞれが別々の角度から見た本作を知ることができ、それがより一層この作品への魅力を深めています。


第2話 あいつのタイムマシン
監督:三木孝浩

 話は、SFが好きな人は好きだと思いますが、この回は平凡。確かにしっかりとしたつくりの作品ではありますが、テンポもいまいち。悪く言えば「良く出来た学生映画」、よく言えば「普通の日本のドラマ」。
 ただ、話自体はSF好きな人は見て損は無いと思います。


第3話 ボノム ~底ぬけさん~
監督:藤本周
 話がすばらしい。宗教の経典に登場するような人物の話なのだが、そのアイデアは現代でも通じる。しばらく前にScientific Americanを読んだ際に、将来的に「自由意志が存在しない」ことが発見される可能性があるなどということも書かれていた。今でこそこんなことを言うと人に引かれるが、皆もっと本作の主人公のように人とは何か、もう一度考え直しても良いかもしれない。

 本作の主人公のすごいところは、その自分で考えた、世間一般では受け入れられていない概念を自ら実行しているところである。自分の頭の中の考えを周りの人間の考えをよそに実行しているということは、「Watchmen」のOzymandiasや、はたまたエイリアンシリーズのエイリアン、もっといえば、映画に出てくる悪役のしていることとなんら変わりはない。
 もっとも、本作の主人公は他人に直接的危害を加えない、そして自分は他人からの危害を受け入れ、他人が何かを必要としているならば差し出すという、究極の善人的人間なのだが。(「的」としたのは勿論「悪を見て見ぬ振りをするのは悪」だからである。といってもそれも何を悪とするのかの定義で変わるが。)

 作中劇としてこの話の原作が用いられており、しかも作中劇が劇中の主人公達の出来事に絡み合っているあたりの演出は、上手い。國村隼演じる主人公の、あまり周囲の出来事を気にしていない風な、何か皆と離れたところから起きていることを静観する様な仕草も味があった。
是非見るべき作品。

SFファンにはお勧め。厳しく書いたけれども、この前半の3話だけでも十二分に楽しめる。
残りの3話の感想はまた今度。






オススメ度 

ストーリー
第1話  ★★★☆☆
第2話  ★★★★☆
第3話  ★★★★★

演出
第1話  ★★★★☆
第2話  ★★☆☆☆
第3話  ★★★★☆

総合      ★★★★☆


by メインクーン

2009年9月29日火曜日

スカイ・クロラ

監督:押井守

 全体の見所としては、綺麗なグラフィックで迫力あるスカイアクションと、奥深いストーリーでしょうか。

 最初から最後まで「キルドレ」が主題となり、徐々にその正体が解き明かされます。そういったドラマ的な部分と、豪快かつスリリングな戦闘機のスカイアクションが印象に残ります。

 戦闘機のアクションシーンではスローモーションも適度に取り入れられていて、薬きょうが機体から飛び散る描写がすごくリアルでした。あわせて、グラフィックは申し分なし!BD画質で見たのもありますが、今までの押井作品と比べてみても、リアルさはいっそう映えます。

 ですが、キャラクターデザインは、戦闘機や風景の描写とはちがう、アニメ調。違和感はありませんが、押井作品のイメージにはあまり出てこない感じですね。個人的には草薙水素の声が・・・w結構惹かれますねw調べてみると・・・菊地凛子さんで、女優さんでした。女優、俳優の声優にはあまりよい印象がないだけにちょっと微妙な気持ちになりましたが(笑

 ちなみに、一部あま~いシーンも入ってますよー。

 今回BDで視聴しましたが、そのグラフィックスと音響には申し分ありません。BDプレーヤー等をお持ちの場合は押井守作品にどっぷりつかりたい人にはオススメかと思います。ちなみに、、、PS3の新型120GBでは音響も高品位になったので、PS3の購入を検討している人は、ぜひとも新型にしましょう。



 




オススメ度 

グラフィック  ★★★★★
ストーリー   ★★★☆☆
音響      ★★★★☆

総合      ★★★★☆ 



by 三毛猫